セバスチャン・リフォー サンセール アクメニネ 2015 / Sebastien Riffault Sancerre Akmenine 15
しっかりとしたコク旨で果実の種のほろ苦さにハチミツの香り、
ドライで複雑味が感じられるセバスチャン・リフォーの逸品。
アクメニネはリトアニア語で「石だらけ」という意味。
粘土石灰質で育つ樹齢30年のソーヴィニヨンブランをプレス後
ステンレスタンクで24 ヶ月発酵·熟成、
古樽で10 ヶ月熟成しSO2無添加で瓶詰めしました。
産地:フランス / ロワール地方サンセール
葡萄品種:ソーヴィニヨン・ブラン 100%(手摘み/平均30年)
(貴腐ブドウ30%・熟したブドウ70%)
栽培・認証:ビオディナミ/カリテフランス
土壌:小石まじりの粘土石灰
標高・高さ:250 ~ 350m・南東、南
面積・収量:3ha・35hl/ha
酵母:自生酵母
発酵・熟成:
ステンレスタンクで24 ヶ月間
発酵·マロラクティック発酵·熟成
古樽で12 ヶ月間熟成
無濾過·無清澄
SO2:無添加
アルコール度:13%
味わい:白辛口
黄金色、あんずジャムやビワ、ハチミツ、金木犀、火打石のアロマ、
しっかりとしたコク旨で果実の種のほろ苦さにハチミツの香り、
ドライで複雑味が感じられる仕上がり。
【造り手について】
1981年12月5日、サンセール生まれ。家族は代々サンセールで農業を営んでいました。そんな自然の環境で生まれ育ったのがセバスチャンです。
セバスチャンの祖父の時代は山羊のチーズや小麦、勿論ブドウ栽培と手広く色んな農業を行って、そして父エチエンヌの代になり、ブドウ栽培からワイン醸造を手掛けるように。エチエンヌの時代は無農薬ではありませんでしたが、その当時まだそれ程ポピュラーでなかったDomaineという自社畑・自社醸造・自社瓶詰めをサンセールで根付かせた人物です。そのエチエンヌに育てられ、セバスチャンは7 ~ 8歳頃から畑の仕事を手伝い、「絶対にワインを造る!」と決めていたそうです。
自然界に育ったセバスチャンは当然ワイン造りを目指します。最初にアンボワーズの農業高校でワインを学び、その後ブルゴーニュ・マコンの大学で醸造学を学びます。そこでクラッシックな醸造を徹底して学びました。が、卒業後直に実家に戻らず、ロンドンに向かいました。ワイン市場の勉強をする為です。パリではなく、世界のワインマーケットを本格的に学ぶ為です。そこで今の奥様と出会いました。彼は酒屋さんに務めていて、彼女はまだ学生でした。彼女はリトアニア人なのですが、英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・リトアニア語と5つの言葉を話せる素晴らしい語学力の持ち主で、更には日本語にも興味を持っているそうです。
セバスチャンはロンドンのワインショップで勤務した時にナチュラルワインを覚え、その後畑
に戻らずパリの「ラ・ヴィーニャ」というワインショップで働きます。ナチュラルワインに目覚め、そのワインの販売では世界一とも言われるお店で勉強したかったからだそう。そこで最先端のワインを勉強しました。
Roch、Pacalet・・・等々、頭から今までのワイン観をひっくり返されたのだと言います。ロンドンの確立された伝統的なワイン、そしてパリの最先端の情報を先取りしたワインを実際消費者であるお客様とたずさわり、そして2004年にサンセールに戻り本格的に自分のワインを造り始めました。
エチエンヌがまだ現役だったので、最初は手伝いのような形で。が、酒屋をやっていた時の2003年に0.5haをビオで試し「これなら大丈夫!」と2004年から自分のワインを造ります。
2004年が最初の彼のヴィンテージです。
彼の拘りは最初っからSO2は一切入れない「O・二酸化硫黄」のSans Souflesです。
これで自信を付けた彼は2005年に新しく1haをビオに2006年にまた2haをビオに、徐々に徐々に畑を無農薬に切り替え、2007年には100%完全無農薬の畑にしました。
2007年~カリテフランスのビオ認証を取得しました。
彼の持ち畑は12ha、この短期間で良くやったと思います。12haの内訳は11haのソーヴィ二ヨンブラン種、1haのピノノワールです。
そして父エチエンヌ氏が60歳になり引退し、彼が100%切り盛りする事になりました。
けれど実際は、畑仕事が好きなお父様は今もセバスチャンの仕事を時々お手伝いしているそう。
セバスチャンに、何代目なのですか?と聞くと「何代も前から農業を営んでいます。歴史の好きなフランス人が、僕で何代目だと言う人が多いけど、僕はそういうのは言いたくないんだ。何故ってこの農法は僕が始めて、僕が一代目。でも決して父を否定している訳ではありません。僕と父は方法が違うだけなのです」と。
彼のワイン造りの方法は彼が色々学んで、ここまでたどり着いたものです。彼の言葉で言う「プルミエ・ゼネラシオン・キ・ア・ショアイジ・ビニュロン・ビオロジック(意訳: ビオロジック農
法は僕が初代です)」なのです。とても純粋な人柄で、ワインの話しをしだすと止まりません。そして、彼は畑の中にいると生き生きとします。
サンセールの畑は畝と畝が1.3mです。
ブルゴーニュは1mなので、1haに10,000本のブドウが植わります。
Touraineは同じロワールでも1.5mの畝なので6600本、そしてこのサンセールは7000本、ロワールの中では限りなくブルゴーニュに近い本数のブドウが畑に植わっているので手入れが大変です。
セバスチャンはその密度の高いブドウの剪定に拘ります。
ブルゴーニュの拘った生産者と同じ方法なので、結果10,000本植えているブルゴーニュより、7000本のサンセールの方が収量ははるかに少なくなります。その方法とは1本のブドウの木にギヨーサンプルで4芽だけ残します。ですから収量がぐっと少なくなり、ワインの濃縮度がぐっと高まります。これだとどんなに頑張っても収量はMax30hl/ha、ですから剪定からブルゴーニュの特級畑と同じ位の収量なのです。
彼のワインの秘密はこの剪定方法から始まります。
当然畑の中は化学肥料を使わず、テロワールを最大限表現出来る環境作りに専念します。結果1粒1粒の大きさは小さく、ギュッと凝縮された旨みの詰まったブドウが出来あがります。剪定の方法もユニークです。彼と畑を歩いている時にあるパワーの強いブドウに出会ったら「このブドウはどう剪定する?」と聞かれ、「この枝とこの枝を残し主にして、これを切ってこの芽だけ残す」と答えたら、その方法が彼と同じでした。所謂醸造学校で学ぶ、剪定方法と違うのです。
どう違うか?と言うと、それはブドウの木のエネルギーを読み取るという方法。それは感覚なのですが、レシピには書いておりません。ブドウとの対話なのです。セバスチャンは醸造も実務も学校で学んでいますが、最終的にはブドウの神様の声を聞きます。
彼の畑の守り方にはもの凄い拘りがあります。無農薬をベースにスパルタ教育でありながら最終的にはブドウに限りなく優しい農法を選んでおります。基本は放っておくのです。甘やかせていてはいけません。それが肥料であり、土の興し方でもあるのですが、必要な時に手を差し伸べます。35もの違う個性の畑を管理するのですから、その子達のリズムを読み取らないといけません。ソーヴィニヨンブランは11haですが、その中の4haが上のクラスの畑、その4haは一切トラクターを使用しないで100%馬で手入れをするのです。その仕事量は半端ではありません。その肥料は勿論愛情を沢山注いでいる馬にも協力をして貰っているそう。
ゆっくりと発酵し、その後1年ゆっくりと熟成させます。マロラティックを急がないのです。醸造家としては理想的ですが、輸入会社側としては実は困る面もあります。
無理に温度を上げたり、MLFを促進させる事は一切行いません。全てはブドウの神様に委ねた醸造方法、ひたすら待つのみです。最初は大きなタンクで発酵させ、樽に移し替えるのです。
セバスチャンが言うには冬の朝の日課は、醸造所に出勤して、まず発酵チェックを最初に行います。その方法はタンクの上の部分の音を聞いて、次にタンクの中位の部分の音を聞きます。最後に一番下の部分の音を聞きます。1つの同じタンクでもチチチチチ・・・という速度が違うのです。それを毎朝毎朝確認するのです。タンクの3 ヶ所が全く違う音を奏でるのは本当に楽しい事なのだと想像します。
サンセールはロワールの中でも収穫は遅い生産地です。その遅い生産地の中でもセバスチャンはさらに熟度を上げる為、他の人たちよりも2週間位収穫を伸ばします。その徹底ぶりは半端ではありません。今まで色んな生産者を日本に紹介してきましたが、彼は天然の天才醸造家、嫌みのない素朴な純粋なヴィニュロンです。
とってもとっても素敵な生産者です。
(インポーター資料より)