ジョナタン・ディディエ・パビオ プイィ・フュメ レオン 2023 /Jonathan Didier Pabiot Pouilly Fumé léon 2023
作品名の「Léon」は創業者である曽々祖父の名前でもあり、ジョナタンの息子の名前でもあります。過去から未来へと家族を紡ぐ、ドメーヌの旗艦作品です。
【テイスティングノート】
まず立ち上がるのは、プイィ・フュメ特有の火打石――いわゆるフリントのニュアンス。しかしそれは鋭利ではなく、あくまで澄明。冷たい鉱物の線の奥に、白い花や柑橘の皮、熟しきらない洋梨の気配が、薄絹越しに揺れます。
2023年は果実の充実がありながら、パビオらしい抽出の穏やかさと酸の節度が保たれた年。あなたが感じた「薄いベール」は、過度に前へ出ない設計ゆえでしょう。香りが主張するのではなく、空間をつくる。だからこそ、時を忘れて嗅いでいられる。
口に含むと印象はさらに深まります。一般的なソーヴィニヨン・ブランの“爽快さ”よりも、上顎へと広がる旨味の層。石灰やシレックス土壌由来のミネラルが、酸を芯として抱き込み、横にではなく奥行きへと進む構造。
飲み込むまでの時間に意味がある――まさにその通りで、急げばただの上質、留まれば豊かさが現れる。
派手ではない。素朴でもない。
輪郭は静かで、密度は高い。
果実、石、空気。その均衡が崩れないまま、余韻は細く長く残ります。
生産地:ロワール
葡萄品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%(平均樹齢30年)
土壌:17.8ha。キンメリッジアン、シレックス、粘土質、砂礫質等、多様な土壌より。
醸造:ステンレスタンクで醸造
スタイル:白・辛口
【生産者について】
今日のプイィ・フュメを代表する新世代、ジョナタン・パビオは、フランスのワインガイドの金字塔「Le Guide des Meilleurs Vins de France 2013」に、プイィ・フュメの造り手として掲載された、全5人のうちのひとりです。
プイィ・シュル・ロワール村近郊のレ・ロッジュ村に5世代続くぶどう栽培家の家系で、1977年にディディエ・パビオがドメーヌを設立。2005年に息子のジョナタンが継承しました。
研修先だったフォジェールの「レオン・バラル」でビオディナミに出会い、衝撃を受けたという彼は、2006年から、(プレパラシオンの使用など)一部にビオディナミの手法を採り入れた、ビオロジック栽培を開始しました。
「ここプイィ・フュメには約120人の造り手がいますが、ビオロジック栽培を実践しているのは僕も含めてまだ3人しかいません(2012年現在)。ワインの品質はもちろんですが、子供たちの生活環境のためにも、この地にビオロジック栽培を広めていきたいです。ビオディナミについては、時間ができるとルフレーヴやジャン・ルイ・トラペを訪れ、いろいろ教わっています」(ジョナタン・パビオ)。
まださほど知名度が高くないにもかかわらず、仏ミシュラン3つ星の「ラルページュ」「ルドワイヤン」「ギー・サヴォワ」、同2つ星「アピシウス」「ル・グラン・ヴェフール」「ル・クリヨン」といったフランスの最高級レストランに続々とオンリストされている彼のプイィ・フュメは、コルクを抜くやいなやボトルから立ち上ってくる、スモーキーなフリンティ香(火打石の香り)が特徴で、だからプイィ・「フュメ」(煙)っていうのか、と思ってしまいそうになるほどです。
「プイィ・フュメの土壌は多種多様で、土壌によってワインのスタイルは大きく異なります。僕のスタンダード・キュヴェは、キンメリッジアン、シレックス、粘土質、砂礫質といった異なる土壌で栽培したソーヴィニヨン・ブランをすべてブレンドすることで、プイィ・フュメのテロワールを包括的に表現することを目指しています。ビオロジック栽培を始めてから、ミネラルに由来するフリンティ香が、年とともに強くなってきました。これからも、「本物」を造っていきたいです」。
中央フランスのモトクロスのチャンピオンだったという、多才な彼。
今後が本当に楽しみです。
(インポーター資料より)
